@−2)海水生物は繊細な生き物

 

 

 さて、ではなぜ海水魚は淡水魚と違い、簡易的な飼育システムでは長生きしないのでしょうか?それは海水の持つ独特の性質にあります。

 淡水魚はある程度綺麗な水と、エサさえあれば生きていける能力を持っています。体も水とは独立していて、体内に水分を補給する時は大部分を口から摂取し、消化器官を通って体に取り込まれます。

 しかし海水魚は異なります。難しい話になってしまうので簡潔に書きますが、海水魚は皮膚からも新鮮な海水を摂取しています。(ミネラル成分の吸収など)簡単に言うと、海水生物は皮膚を通して海水が直接体内に取り込まれたり吐き出されたりします。ですので海水生物の飼育には水質管理が非常に厳しくなってくるわけです。

 

 また、淡水魚と海水魚では住んでいる環境が全く違います。淡水と海水というのも大きな違いなのですが、その他にも「水質変化」が起こりやすい環境と、起こりにくい環境」という違いもあります。淡水魚は川や湖、沼などに住んでいます。こちらは海と比べると水量も少なく、水質変化も温度変化も大きいです。特に沼などの小さな水たまりに生息する魚(コイやフナ、小さな小魚など。金魚もフナの仲間です)は、この水質変化と温度変化が激しい環境に住んでいますので、普段からちょっとやそっとの環境変化には順応できる体を持っています。

 ところが海水魚が住んでいる海はとてつもなく広大で、春夏秋冬がある日本でも、この水質変化や水温変化はその膨大なる海水によってゆっくりと進んでいきます。海水魚はこの様な環境で生活していますので、急激な変化に慣れていないのです。

 特に無脊椎動物(サンゴやイソギンチャク、貝類、エビ類など)は、体の大部分を水分が占めているので、この水質変化にかなり弱いです。

 

例1)海水魚・カクレクマノミ(スズメダイ)、ハナダイ、チョウチョウウオ

 写真はセンジュイソギンチャクに寄り添うカクレクマノミです。この姿を自分の水槽で見たくて海水魚の飼育を始める人は多いのではないでしょうか。カクレクマノミやデバスズメダイなどは「スズメダイ科」のお魚で、海水魚の中でも飼いやすく丈夫な部類に入ります。

 しかし、先にも申し上げた通り「金魚を飼う設備」を買ってきて、当日から飼育できるほど甘くはありません。ある程度の大きさがある飼育水槽と、しっかりとした容量の時間をかけて熟成させた「生物」濾過槽などがあって初めて安全に飼育することができます。飼育水槽は最低でも60cm規格水槽(約58リットル)以上、濾過槽は30cm規格水槽(約13リットル)以上の高酸素型(※同容量を満たす海水用の上部濾過槽でも構いません)、そして立ち上げから1ヶ月ほど餌だけ投入してバクテリアを繁殖させ、しっかりと濾過形態が出来上がった状態で飼育を開始します。逆に言うとそれを達成すれば左の写真の様なカクレクマノミとイソギンチャクの共生水槽も、高照明などの条件はありますが夢ではありません。

 

あ、見る人が見れば分かると思いますが、このセンジュイソギンチャクはこのとき調子を崩しています。健康なセンジュ君はこんな感じ!同じ固体ですが触手の太さもしっかりしていて生命感が違いますでしょ?無脊椎動物の飼育はホント気を使います(汗)

 

 

 写真は前項の7つのコツにて紹介した、アカネハナゴイ君とキンギョハナダイ君、フタイロハナダイ君です。この子達はすごく分かり易い性質で、水質が悪くなってくると餌を食べなくなります(汗)おりょ?と思いすぐに水換えをすると、数時間でまた餌を食べだします。なんてゲンキンな魚達なんでしょうね〜。

 

 左の写真は海から採取してきた死滅回遊魚、ナミチョウチョウウオ、フウライチョウチョウウオの幼魚です。チョウチョウウオは全般的に飼育難易度が高いです。彼らは水質が悪いと白点病などの病気にかかり易い魚です。この水槽は立ち上げから4年ほど経過した、バクテリア濾過槽が熟成した容量500リットル近くのシステムに同一循環で繋がれた40cm水槽で育てました。

 死滅回遊魚とは、黒潮に乗って南側の熱帯域から流れ着いた海水魚たちの事で、黒潮と親潮がぶつかる関東近辺(銚子)辺りまで流れて来ます。熱帯域に住む魚なので、冬になり水温が下がると死滅していくために死滅回遊魚と呼ばれています。

 説明のため特に弱い海水魚(幼魚)を例にとっていますが、この子達はアンモニアや亜硝酸塩(後述)にとても弱く、それらの浄化能力が低い立ち上げ初期の水槽に入れると数日で死んでしまいます。ちょっとした水質の悪さで体調を崩す子達でしたが、逆にチョウチョウウオの幼魚が住める水槽はかなり水質が良く、濾過状態も良質と言えます。

 これに比べスズメダイ科のお魚(デバスズメダイ、カクレクマノミなど)は多少水質が悪くても耐えますが、やはり立ち上げ直後や濾過槽が貧弱なシステムで長生きさせる事は難しいでしょう。海水における水槽の水質は、濾過槽の質×経過時間なところがあり、濾過がしっかりしたシステムで飼い始めるのはもちろんですが、最初は少なめのお魚で始め、時間の経過と共に徐々に生体を増やしていく方が安全です。

 

 

 写真の魚はミゾレチョウチョウウオと言います。この子はチョウチョウウオの中でも比較的飼い易く、多少水質が劣化しても頑張ります。ただ、やはりスズメダイの頑丈さには及ばず、水質が悪化してくると餌食いも悪くなり、病気がちになります。

 この様に、同じ種別の魚でも種類によって水質に対する強弱があり、それは元々住んでいる海域の水質によるところが大きいです。南国の海で乱舞する魚達。海は本来とても綺麗な海水で満たされている事が分かりますね。

 

例2)無脊椎・エビや貝類

 更に悪水質に弱いのがエビや貝類などの「無脊椎動物」です。固い殻で覆われた彼らは一見水質に強そうに見えますが、実は体の大部分が水分で構成されていて、水質変化にはかなり弱い部類に入ります。

 写真はスカンクシュリンプと言うクリーナーシュリンプの仲間ですが、うちのエビっ子達の中でも抜群に強い子です。この子は総水量200リットルの立ち上げから1年経過した水槽に投入しましたが、今のところ安全に飼育できています。

 とはいえ、エビ類は水質悪化に非常に弱いのでかなり気を使います。水質変化にも弱いので、水換えや足し水をする時は「点滴」をつかって徐々に徐々に水質が変わる様な工夫をしています。

 エビの体調のバロメーターは、ずばり「脱皮」です。死んだか!?とびっくりするぐらいリアルな抜け殻を残して脱皮します(汗) 脱皮する生物は脱皮している間が一番弱く、この時に死亡する可能性が最も高くなります。何度も脱皮に成功している感じですと、水質を良い状態で保てている証拠です。

 

 

 この子はライブロックから出てきたマキ貝君です。なんて名前なのかも分かりませんが(汗)ライブロックのキュアリング後の洗浄水槽を覗いたら底に転がってました。水槽面に着いたコケをセッセとお掃除してくれるイイ奴です。

 私はこのお掃除効果を期待し、90cmのOF水槽に20匹以上の「しったか」という貝を投入したことがあります。確かに水槽面は綺麗になったのですが、、、一匹、また一匹と死んでいき、最後には5匹ほどになってしまいました。

 貝は無脊椎動物です。とても水質悪化に弱く、品疎なシステムで多量に長期飼育するのは難しい生物です。また、貝類は「食あたりが酷い」ことからも分かる様に、死亡して腐敗すると強烈な毒素を出しますので注意が必要です。お掃除君として沢山導入している方もいらっしゃると思いますが、水槽面に着いているコケなどの餌の量から考えても、少なめに飼った方が無難ですね。

 また、お馬鹿な話で申し訳ないのですが、私は水槽に「サザエ」を投入したことがあります。1ヶ月ほどは元気にしていましたが、そのうち弱りだして死んでしまいました。餌が足りなかったのか、水質が悪かったのか分からなかったのですが、他の貝は元気に生きていた事を考えると、環境の違いかな?と思いました。サザエは寒水域に住む生物で、熱帯を再現した水温の高い水槽では合わなかったのではないかと思います。

 ですので貝類は、「熱帯魚と一緒に飼うなら熱帯に住む貝」を飼育したほうが無難だと思います。これは魚だと当たり前の様に気が付くことなんですけどね(汗) 写真の貝はライブロックに着いて来たという事で、熱帯に住むマキ貝君だと思います。

 

 余談ですが、貝やハゼ、エビなどの小さな生物はオーバーフロー管を伝って濾過槽に落ちます。OF水槽ではフロー部分に網を設置するなど、事故が起きない工夫が必要です。私は貝やハゼなどの小さな生物を何度救出したことか分かりません(汗)

左の写真・・・。実は世にも恐ろしいことが起きています。分かりますでしょうか?

オーバーフロー管にイソギンチャクの体の一部が吸い込まれています!!!

 この時はすぐに気が付き大事には至りませんでしたが、画像を良く見てください。水面が上昇してます。このまま吸い込まれて詰まったら・・・大量の海水があふれ出すところでした(汗)あな恐ろしや。

生体の事故防止のためにも、オーバーフロー管のフロー部には硬めのネットなどを設置しましょう。

 

例3-1)無脊椎・サンゴ

 下の写真の珊瑚はたこ足ブランチといいます。左と右の写真は、場所が変わっていますが同じ個体です。

 このたこ足ブランチ君は、水替え時などのちょっとした水質の変化を敏感に感じ取り、異常があるとすぐにしぼんでしまいます。幸い大事には至っておりませんが、一時溶けかけたこともありました(写真右)この時はしぼんだたこ足ブランチ君の後ろに見える「流木」が原因でした。海水水槽に淡水用の流木を入れてはいけません!海水生体にとっては流木から染み出るアクが毒素になります(汗)

 大変水質に敏感なブランチ君ですが、我が家の水槽における水質のバロメーターとして大変参考になり、水質異常の早期発見役として今でも活躍しています。

 これは別のたこ足ブランチ君ですが、水の調子がよいとこんなに満開な姿になります。

 この水槽は90cm水槽、サンゴ多数と5cm程度のお魚が5匹だけ入っています。90cm水槽にお魚が5匹だけだとえらく淋しいのですが、水質悪化に敏感なサンゴ水槽では、魚は少数のほうがサンゴの飼育はし易いです。(サンゴを飼育するシステムは、同一循環に魚を入れずサンゴ類のみにした方が育てやすいです)

 

例3-2無脊椎・イソギンチャク

 下の写真のイソギンチャクはセンジュイソギンチャクといいます。2枚とも同じ個体の写真です。

 センジュイソギンチャクは「カクレクマノミ」が好んで入るイソギンチャクです。イソギンチャクは刺胞に毒を持っていて、このセンジュ君はかなり強い刺胞毒を持っています。導入時に素手で持ちましたが、1時間ぐらい手がピリピリしていました。しかしこのセンジュ君の持つ毒とは裏腹に、イソギンチャクはかなり飼育難易度が高く、水質の微妙な変化にとても弱いです。この頃はまだ、イソギンチャクが硝酸塩や水道水に含まれる数多くの有害物質に弱いことが分からず、家庭用簡易浄水器を通した水道水にて海水を作成していました。硝酸塩とは水槽内の濾過過程で最終的に作成される物質で、毒性はかなり低いのですが、無脊椎動物にとっては驚異となる物質です。実は水道水にも多く含まれています(後述)

 残念ながらこのセンジュ君は、無知だった私のせいで★になってしまいました。すぐに水槽から取り出し、新鮮な海水を作って療養させれば復活する事を知りませんでした。イソギンチャクの寿命は、長いもので70年とも言われています。私は元気だったセンジュ君の死にどうしても納得がいかず、この頃から無脊椎動物と水質に関して深く調べ、知識をどんどん身につけていく様になりました。今では水換えや足し水には、RO浄水器(逆浸透膜強力濾過器)にて作成した純水を使っています。私が海水魚飼育に関する事を勉強する様になってからは、我が家の水槽の悲劇が激減し、今ではみんな元気に生活しています。私もまだまだ学習不足です。これからも初心を忘れず、学んだことが有り次第こちらのホームページに綴って行きたいと思っています。

 

 話が逸れましたが、淡水と違い、海水には100を越える成分がが含まれます。この成分のうち、海水魚にはなくてはならない成分や、あっては障害になる成分や管理要素がいくつも存在します。これについて一部ですが次ページから詳しく説明しています。


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作者は国語赤点野郎です。文章に不備があった場合や、分かりにくい事、質問などが御座いましたらどしどしメールをして下さい。ホームページにも反映させていきたいと思っています。

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