A−1)海水の水質維持難度
海水における水質維持難度は、これまで説明してきたように簡単ではありません。しかし、実はそんなに臆することはないのです。毎日水質を計らなければならないのか?そんなことは決してありません。以下に説明する事をしっかりやっていれば、必然的に水質は正常値で安定します。(還元濾過など特殊な事をやっている場合を除く)
1/6)しっかりした生物濾過槽を設置する
海水水槽における水質維持は、バクテリアの繁殖が鍵を握っています。ではバクテリアは何処で繁殖するのでしょうか?答えは「水槽全体で繁殖する」です。安全水槽では水槽に手を入れて、手についた水滴の中でさえ何千というバクテリアが存在しています。正し、バクテリアが最も繁殖するには、暗所で自らが付着する媒体があり、更に酸素供給とエサとなるアンモニアや亜硝酸塩がある場所が必要です。例えば1立方センチの中に存在するバクテリアの数が数万匹なのに対し、生物濾過槽の濾過媒体(サンゴ石など)に付着している耳かき一杯のバクテリアは、数十万とも言われています。この様に、浮遊するバクテリアが媒体に付着し、集まることによりその数を増やすことが出来ます。 バクテリアが繁殖してくると、送水管の内部や濾過槽の濾材、水槽のガラス面などがヌルヌルしてきます。これは「バクテリアフィルムの形成」によるもので、ここにはバクテリアが多く繁殖しています。 当然彼らも酸素を吸収し、呼吸しています。エアレーションなどの酸素供給は、魚のためと言うよりバクテリアのために行います。生物濾過槽を通る前と後では、海水内の酸素含有量がかなり違います。生物濾過槽は呼吸しているのです。 つまり、容量の大きな生物濾過槽を設置し、多種のバクテリアをしっかり繁殖させる事が出来れば、自ずと水質は安定します。 |
2/6)定期的な真水の補給と水換え
また、特に「真水」を注入する時は、点滴などを使って徐々に徐々に追加します。ドバッと入れると水質の急激な変化により、ショックを起こし死んでしまう個体も出てきますので注意が必要です。 足し水には自動的に足し水をしてくれる(ペットボトル足し水君)を自作コーナー(準備中)にて紹介しています。リアルタイムでの足し水、これが最高の足し水方法だと思います。勿論定期的な比重測定は必要不可決です。 定期的な水換えも重要です。海水が酸化して古くなっていくのも一要因なのですが、先に述べたように水槽内の毒物は様々なバクテリアが分解し、最終的に「硝酸塩」となりますので、この硝酸塩を除去するためにも定期的な水換えを行います。 「ウールマット」などの物理濾過材の洗浄、交換は水換え前に行います。綺麗な海水で水換えするのですが、ウールマットを動かす時に汚れが流れ出て水を汚してしまう為です。 |
3/6)水道水をそのまま使わない
水道水にカルキ抜きを入れただけの水は、極力使わないことです。水道水には多種多様な有害物質、有害有機成分が含まれています。家庭用の浄水器(3千円ぐらいの安物でも効果はある)で浄水した水を使います。出来ればROイオン浄水器(逆浸透膜浄水器)等の強力な浄水器を使い、より純水に近い形で補給した方が無難です。水道水をそのまま使うと・・・
コケが大繁殖します!!
写真(コケだらけの水槽) |
写真(除去したコケの塊) |
4/6)定期的な濾材の洗浄と交換
写真(ウールマットの洗浄風景/洗浄後の汚水) 濾材の掃除は特に、「ウールマット」などの物理濾過材を清潔に保つことが大切です。生物濾過媒体(サンゴ石等)は、むやみに洗ってはいけません。せっかく付着しているバクテリアが流れ出てしまいます。生物濾過媒体の清掃は、サンゴ石なら必要ないと思います。ただ、半年に一度ほどは濾材の全てを取り出し、生物濾過層自体の清掃は必要です。濾材自体の洗浄は必要ありません。私の水槽では十数年間、このサンゴ石を洗っていません。バクテリアが勝手に清掃してくれますからね。ちなみに集合したバクテリアは、透明なヘドロが付着している様に見えます(バイオフィルム) 話が脱線しましたが、ウールマットは定期的な清掃が必要です。数日経ったウールマットにもバクテリアが繁殖しているのですが、マットで大きなゴミを受け止める事が目的なので割り切って洗浄してしまいましょう。放置していると溶けて流れ出てしまいます。水道水でジャバジャバ洗ってしまって構いません。そしてよく搾って元の物理濾過槽に戻します。間違っても洗剤で洗ったりしないで下さい!(こんな人はいないか・・・)ウールマットなら4回ぐらいのもみ洗い後、目が詰まってきたら交換します。 これを出来れば毎日、遅くとも3日に1回は実施してください。ウールマットを洗浄すると茶色く汚れた汚水が出ます。この汚水こそが水槽内汚物除去の証です。 |
5/6)定期的な水質検査
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6/6)浄水器の注意点
(写真:家庭用浄水器) 上記内容と重なりますが、水道水には有害物質(カルキや各種溶解金属など)が含まれており、水換えには浄水器を通した海水を使ったほうが良い事は前途で説明しました。台所で使用する安価な浄水器でもかなり違ってくるのですが、出来ればRO浄水器などの「純水」に限りなく近い水を作れる浄水器を使ったほうが無難です。 |
ただし、逆浸透膜は水に溶け込むカルキやケイ酸塩、リン酸塩などを除去することが出来ません。これらの逆浸透膜を通ってしまった不純物を吸着除去させるために、内部には「活性炭層」が設けられています。 |
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これらは水道水に含まれる不純物(錆びや溶存塩素、重金属、栄養素)を高精度に取り除く事ができ、限りなく純水に近い水を生産する事が出来ます。 水道水そのままと、この浄水器で作成した水を純水計で計ると・・・ |
水道水に含まれる不純物が106mg/Lに対し、濾過後が0mg/Lでした。
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これはクロノスレインに直接繋がっている測定器で、比較のため前述で計った計測器で測ると・・・
この差は測定器の差なのか、使用したコップの汚れが溶け出したのかは分かりませんが、不純物濃度が1mg/Lですので、どちらにしろ超純水であることは間違いありません。逆に1mg/Lと出て真実味が出たかも(笑)飲むとこれぞ水!と言う感じで美味しいです。<注意@> うちは飲用としても使ってます。麦茶や水出しコーヒーとかを作ると雑味が改善されて美味しいですね。(好みがありますが) |
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純水の飲用について読者様よりご指摘とご質問を頂きました。有り難う御座います!
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これで「超純水」が作成できたことになりますが、まぁここまで厳密に「純水」でなくても問題はありません(汗)水道水を何らかの浄水器を通し、不純物を極力取り除いた水で海水を作成すると、生態に有害な物質の少ない海水で水換えが出来ると言うことです。
ただ、強力な浄水器を使っているからと安心してついついフィルター交換を怠ってしまうと、カルキなどが検出されることがあります。魚の皮膚状態が白っぽく、おかしいな!?と思っていたら残留塩素計で塩素が検出されたことがあります(汗) 私はやっちまいましたが、本末転倒になりますので、指定された時期にフィルターの交換をしてくださいね。
この項では最重要と思われる6点についてお話ししました。この他にもうんちくは沢山ありますが、それは追々説明させて頂きます。
また、皆様からの体験談や意見、ご教授なども募集しています!ホームページに書いていない事で、これは必要だろうと思ったことや、間違いの指摘など、メールにてどしどし情報を送って下さいね。
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作者は国語赤点野郎です。文章に不備が合った場合や、分かりにくい事、質問などが御座いましたらどしどしメールをして下さい。ホームページにも反映させていきたいと思っています。 |