A−2)海水の酸素供給

  先にも申し上げた通り、海水は比重や成分の多さにより酸素が溶けにくいです。この酸素供給は魚のためだけではなく、次に説明するバクテリアの繁殖にも大きく影響し、むしろ生物濾過槽のバクテリアへの酸素供給の方が重要です。ここでは海水における効率の良い酸素供給について触れていきたいと思います。 

 海水魚飼育におけるエアレーションは、飼育水槽内だけでは不足です。(エアレーションの強さや個数にもよります)魚にとってはこれで十分なのですが、生物濾過槽内のバクテリアにとっては不足なのです。安全水槽では生物濾過槽を大きくとりますが、生物濾過槽を通ってきた海水はバクテリアによって酸素含有量がかなり下がっており、バクテリアが多くの酸素を消費していることが伺えます。

 

 

 そこで濾過槽内にもエアレーションを設置してやります。バクテリアに多くの酸素を供給することにより活動が活発になり、その浄化能力は飛躍的に上がります。水道を設けた二層式の濾過槽の場合、部屋と部屋の間にエアレーションを設置すると酸素供給の効率が良くなります。

 

 1層式や水の道がない濾過槽の場合も、エアレーション、もしくは空気を噛む落ち込みを設置するだけでかなり効率が違ってきます。写真は我が家の玄関に設置してある水槽棚のOF濾過槽です。パイプを通って落下した海水が空気と混合され、ウールマットの物理濾過槽を通って生物濾過槽に落ちる構造にしています。左写真の様に底にはスノコを敷き、左右の物理濾過室の間には水の道を作り、エアレーションを設置しています。

 照明が点いてカニ君が住んでますが濾過槽です(笑)にぼしやスルメをムシャムシャ食べます。

 

 特に外部濾過BOXなどは密閉されたその構造により、バクテリアへの酸素供給が不十分になりがちです。この場合は飼育水槽内でたっぷりと、かつ気泡がポンプに吸い込まれない程度の酸素供給をしてやります。

 私も以前、外部濾過BOXを使用していました。写真はその時のもので、60cm水槽に直列で2台繋いでいました。効率が上がるように2つ繋げて設置していましたが、今考えると直列でつないだ2台目のBOXは酸素不足になるのでバクテリアの活動が悪かったと思います(汗)せめて並列で設置すればよかった。。。

 

 また、市販品のエアポンプには対応水槽の大きさが記載されていると思います。海水水槽では、この数値より倍の能力を持ったエアポンプを設置できれば完璧です。エアポンプにはエアの吹き出し口が1口タイプと、2口以上のタイプがあります。出来ることなら2口以上のタイプを選び、本水槽と生物濾過槽に酸素を供給します。(三つ又分岐などを使うと、深い位置に設置した側にエアが流れません)

 このエアポンプは空量調整つまみが付いていて、ブクブクの量を調整できるので便利です。ただ、うちのエアポンプは古くなってきて流量を最大にすると「ブ〜ン」と振動が大きくなり、物に触れるとカタカタ音が出るためクッション材を巻きつけています。

  生物濾過槽に酸素供給をする、しないでは、濾過バクテリアの処理能力が圧倒的に違ってきます。小さな生物濾過槽で酸素が供給される部位を施工している場合、していない濾過槽よりも濾過能力は遥かに勝ります。

 

 ここで注意!

 水槽の水面をよ〜く見ていると、湯気の様に飛沫が漂っていることがあります。これが機器に付着し、月日をかけて蓄積されていき、塩だれになります。しっかりと蓋をしていれば塩だれはかなり回避できますが、それでも時間と共にジワジワと垂れてきます。

 注意すべき点ですが、塩は通電物質で照明やその他の電気機器を壊してしまいますし、水槽も汚れてしまいます。コンセントなどに付着するとショートによる火花で発火する恐れもありますので、設置位置には十分に注意が必要です。

 

 

 写真は生物濾過槽付近の塩だれです。このシステムは120cm水槽と90cm水槽を繋ぎ、90cm水槽に海水用上部濾過槽と水槽背面濾過を組み合わせた設計になっています。

 120cm水槽から勢い良く落ちた海水は上部濾過槽で空気が取り込まれ、上部濾過槽から落ちた海水は背面濾過槽へ落ち、ダブルで酸素供給をしています。これは濾過槽内を高酸素状態にする工夫なのですが、当然海水は気泡を多く含み、気泡が海面に達すると飛沫となり塩だれの原因となっています。

 上部濾過槽には蓋をしていて、上部濾過槽から背面濾過槽への落ち込み部分もなるべく密閉される様に設置していますが、細かい飛沫(湯気のレベル)となった海水が僅かな隙間を抜け、長い年月をかけて塩ダレになっています。

 この様に、かなり気をつけていても湯気レベルの飛沫によって塩気が水槽外へ出て行きますので、通電機器の設置場所には十分に注意してくださいね。

 

■効率の悪い濾過槽例

 イラストは酸素効率の「悪い」濾過槽の構築例です。これはオーバーフロー濾過槽を例に取ってみましたが、飼育水槽から供給される海水は勢いよく生物濾過槽へ落ち、ここで豊富な酸素が供給されます。酸素を十分に含んだ海水は生物濾過部を通り、ポンプによって飼育水槽へ戻るのですが、実はこの濾過槽はかなり危険な濾過槽なのです。さて、どの辺が危険なのでしょうか?

 

 答えは、「物理濾過槽が海水に浸っている」のと、「まんべんなく海水が行き渡らない構造」と言うことです。

 まず物理濾過槽ですが、物理濾過は「水槽内に発生した糞やゴミをこしとる事」が役割です。水は物理的に抵抗の少ない場所を流れます。つまり海水にウールマットが浸っていては、ウールマットを透過せず、ウールマットの周辺から海水が流れ出てしまいます。また、せっかくこし取った汚れも、ウールマットが水没していると再び浮遊して物理濾過槽内へ流れ出てしまいます。

 また、ウールマットが水に浸かっていると濾し取った汚れが揉みくちゃにされ、細かく分解されていきますので、濾過槽へと流れ出易くなります。

 次に海水の流れについてですが、酸素の減り具合の予想図を、で表してみました。@の高さを海水が進みます。の色が濃くなればなるほど、酸素は少ないことを表しています。濾過槽を通る海水は、一番抵抗の少ないエリアを多く進みます。要するに最短距離な場所を海水が多く流れるようになるので、Aの様に濾過槽の隅には海水が行き渡りにくくなります。こういった「よどみ」が発生すると好気性細菌の活動も低下しがちになり、デトリタス(ヘドロ)も溜まりやすく、最悪の場合、デトリタスを餌に編性嫌気性細菌が繁殖し、硫化水素が発生してしまう恐れもあります。

 

 

■効率の良い濾過槽の構築

 左のイラストは生物濾過槽の構造としてはまだ欠点があるのですが、説明の為に書いてますので気にしないで下さい(汗)

 イラストは酸素効率の良い?濾過槽の例です。物理濾過槽も大気中に開放されイイ感じです。ウールマットは上図の様に海水面より浮かせ、物理濾過槽を覆う形で設置すると、汚れの漏れが発生しにくくなります。 

 次に海水の流れを見てみます。この様に濾過槽の底に「スノコ」等を敷くと、酸素をまんべんなく全体に行き渡させる事ができます。生物濾過槽の基本は「まんべんなく海水が行き渡る様に設計する事で、この様に構築すると海水の停滞域も少なくなり、安全でバクテリアが多く繁殖できる濾過槽となります。

 ただし、左図の濾過槽は海水が進めば進むほどバクテリアが酸素を消費し、酸素量が乏しくなります。また、軽い気体は浮力で上に進むので、右側の濾過室では空気がどんどん上方へ逃げてしまいます。「好気濾過」は浮上する空気を押し戻す方向の上から下へ海水を流す事により、水中の残留酸素率が高くなります。 

 

これを打開するには濾過室の間に「水の道」を設けてやります。

 

  図は更に酸素効率の良い濾過槽です。

 @飼育水槽から勢い良く落ちてきた海水は物理濾過槽のウールマットに当たり、酸素を多く含み左の部屋へと落ちます。

 海水は左側の濾過エリアから中央の水道を通り、右側の濾過エリアへと流れ込みます。こうすることにより海水が右側の濾過エリアへ入室する前に、一度酸素と出会います。濾過槽内に段差を付けているのは「落ち込み」を作るためで、水面が波立ったり気泡を巻き込むことにより、より多くの酸素が取り込まれるようになります。一見濾過槽エリアが狭くなるので効率が悪いのでは?と感じますが、酸素をふんだんに供給する事の出来る濾過槽は、酸素効率の悪い濾過槽よりもずっとバクテリアの処理能力が発揮されます。

 この水の道(Aの辺り)にエアレーションを設置すると、更に酸素が多く供給されます。

 

 左の写真は前項でも説明した、安全水槽のすゝめで制作している濾過槽です。こちらは販売製品なので細部の情報公開になってしまいますが(笑)ものすごく重要な所なので載せます。

 当方で製作している濾過槽は、全てこのタイプの高酸素濾過槽です。濾過槽のちょっとした工夫で、バクテリアの繁殖効率や安全性はかなり違ってきます。

 プラ版を切ったり穴を開けたり接着したりして、工夫次第で自作できるレベルです。参考になる様に画像を大きくしてみました。

 奥に狭いスペースがありますが、濾材袋を縦に置く事で隙間なく敷き詰められます。これは30cmの小さな濾過槽で、スペースを有効に使うために多少複雑な構造になっています。

 中央に見える2枚の白い板が2つの濾過室を繋ぐ水の道です。低い方は底まで密閉してあり、高い方は底面よりスノコの分だけ上方にずらしており、2枚の仕切り版の間を海水が通ります。

 ここへエアホースを通しエアレーションを施すと、更に酸素効率はアップします。

 

 「スノコ」は、プラスチック版やアクリル板などで作成しますが、元から均等に穴の空いた商品が発売されていますので、この様な商品を使うと簡単にスノコが自作できて便利です。また、濾材は直接投入するのではなく、洗濯ネットなどに入れると出し入れがし易く、メンテナンス性も向上します。

 濾過槽はちょっとした工夫で何倍にも濾過効率が上がります。高級なシステムを買わずとも、自作できる範囲で効率の良い濾過槽は作れます。

 


 次項では今まで話してきた濾過の重要な役割をする「海水バクテリア」の役目についてお話ししたいと思います。

 


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作者は国語赤点野郎です。文章に不備が合った場合や、分かりにくい事、質問などが御座いましたらどしどしメールをして下さい。ホームページにも反映させていきたいと思っています。

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