A−6−2)病気の実態

 

 海水魚の病気の殆どは、様々な理由により体力が落ちた個体がかかるものです。いくら病原を絶とうとしても、100%無菌状態にする事は不可能です。また、例え無菌室の様な水槽を構築出来たとしても、そこにはバクテリアが存在できません・・・バクテリアも菌の一種だからです。つまり、どんな病気治療でも「細菌や病原虫を減らす事」は出来ても、「100%駆除する」事はできません。水槽をリセットしても100%の駆除は不可能です。魚の体表にも菌や病原中は付着しているからです。

じゃぁどうすりゃいいんじゃーーー!と突っ込まれそうですが、病気治療を違う視点から見てみると、その答えが見えてきます。

病気治療で一番大切なのは、病気になってしまった魚自体の体力を取り戻し、自己治癒能力を向上させ、その能力を維持しつづけることです。

 何故体力があり免疫能力の高い魚が病気にかかりにくいのかは、誰しも想像がつくと思います。魚の免疫力とは何か。その辺を詳しく説明したいと思います。

 

 前項でも申し上げました通り、海水魚における病気は「治療」よりも「予防」の方が断然大切です。以降は万が一、海水魚達が病気になってしまった場合の処置を記述していきますが、魚が病気になると言うことは、病気にさせてしまう水槽システム自体、飼育方法自体に問題がある事が多いです。「予防」の方が大切な事をご理解頂き、以下をお読み下さると幸いです。

 海水魚における様々な病気は、その殆ど全てに於いて共通する点があります。ここでは海水魚が最もかかり易い「白点病」について解説しますが、この白点病の予防、治療方法には、他の病気を予防する要因も多く含まれています。つまり、「白点病を予防する≒他の病気も克服出来る」と言うパターンが非常に多いと思います。また、海水における白点病の治療には、海水白点虫(クリプトカリオン・イリタンス)の生態系を詳しく理解する必要があります。この生態系を無視し、「安易な」薬物投与などの簡易的な治療法では白点病を克服することは難しく、最悪の場合水槽全体が壊滅する恐れも出てきます。(正しい知識を身につけた上での薬物による治療は非常に有効です)このため白点病の克服には、「白点病の治療方法の理解」よりも、「体力回復の手段、白点虫の生態体系の理解」が何より大切です。そして一つの治療法に固執せず、海水魚の病気についての様々なページや書籍などを多く読み、自分の水槽に合った治療法を「自分なりに」考えて行うことが大切です。同じ病気でも「水質」「水温」「導入魚種」「設備の状態」によって症状や適切な治療方法は千差万別です。ですのでこちらで述べている内容だけに捕らわれず、自分なりの答えを出してください。宜しくお願い致します。

 ※病気についての説明は、全て海水魚を対象にしています。無脊椎などの病気については以下の説明には当てはまりませんのでご注意下さい。

 左の写真は白点病の初期症状です。目の下1点、胸びれの上2点に、生体体内で成長し、繁殖のために離脱中の白点虫が見られます。

 魚の体表に姿を表した白点虫は小さく、およそ0.3mm〜0.5mmほどです。しかも我々飼育者が白点虫を見ることが出来るのは、この繁殖のために離脱中の白点虫、おおよそ数時間の間のみになります。写真の状態であればまだ白点虫成長サイクルの1周目の可能性が高いです。これが一目で分かるまで繁殖すると、治療が困難になってきます。

 

 

 上の写真は白点病中度のヤッコ君と、中度のキイロハギ君です。ヤッコ君の方はハッキリと白い点々が見えます。キイロハギの白点は体色と同化して発見し辛いのですが、この黄色ハギ君の体表にも白点が確認できます。ここまで病状が進行してしまうと、完全治癒には治療難度も上がり、時間もかかり、治療にはお魚の体力との勝負になってしまいます。なるべく初期に発見し迅速な対応をする事により、生体の死亡率がぐっと抑えられますので、普段から注意して観察することが重要だと思います。

※白点病に似た病気で「ウーデニュウム症」というものがあります。実は上の写真の黄色ハギ君、白点病とウーデニウムの両方に取り憑かれています。しかし、ウーデニウムは上の写真では発見が難しいと思います。(口元〜胸びれにかけてと、尻ビレの根本に黄色く細かい粉ふきの様なツブツブが見られます。)これは白点虫よりも親虫が小さく、繊毛虫は若干黄みがかり、長細いものになり、小さく無数に発症し、白点虫より中々発見し辛い病原虫です。詳しくは後述、「その他の病気」にて詳しく解説しています。(淡水浴や汽水浴は逆効果など、治療法が異なりますのでご注意下さい。)

 

■海水魚の病気に対する心得

 海水魚を飼育する場合に限らずペットを飼う中で、病気にかからずに一生をまっとうする事は稀だと思います。飼育魚も同じですが、特に海水魚は水質にうるさく、よく考えずに安易な飼育をすると、必ずと言っていいほど病気にかかります。もし、今まで一度も病気になったことがないよ?と言う人がいるとすれば、「飼育期間が短い」か、「病気にかかりにくい魚だけを飼っている」、または「原因不明で死んでいて病気を見逃している」か「病気予防について深く理解をしている」かのどれかだと思います。

 確かに病気が一切発生しない、オアシスのような海水水槽も存在しています。ですがこれは、「想像を絶する努力」と「限りない探求」による賜物です。何年もかけて素晴らしい管理をし、生態系サイクルが完全に出来上がった水槽では病気の発生率はかなり下がります。それは普段から魚が正常な体力や免疫力を持つことの出来る水質環境だからです。ですが初めて海水魚を飼う殆どの人が、この海水魚の病気を体験するのではないでしょうか。

 病気になってから慌てて治療法を学習しても、魚が生きている間に解決しないかも知れません・・・安易な飼育では海水魚は病気にかかってしまうんだ!と思い、日頃から適切な飼育方法を心掛け、病気に対しても準備しておくのが最良だと思います。

 

※上記はトリコディナ症と体内出血の写真で、友人より頂いた物です。後述「その他の病気」にて説明しています。写真提供ありがとうございます!

 

 また、病気という概念を少し違う観点から見ると、「病原を絶つ」と言う方法よりも、、「病気にかかりにくい丈夫な生体を維持する」と言う努力の方が有効な予防になると思います。これには「海水の水質を良好に保つ」「栄養価の高いえさを複数与える」など、魚の根本的体力を養うと共に、「グルカン」や「ラクトフェリン」という免疫力を高める働きをする成分が含まれた餌を与える方法もあります。

写真(グルカン入りフィッシュフード・SEALIFE-SURE)
 

 ちなみにグルカンは病原菌などに対抗する細胞に活力を与えると言われている成分です。通常の餌よりは高くつきますが、生体にも安心して使用できます。現在はグルカン入りのフィッシュフードも数多く発売されています。海水魚ショップに行ったときにでも、餌の成分をじっくり見てみるのもいいですね。

 また、ラクトフェリンという、母乳に多く含まれる免疫力に直接作用する成分を常に餌へ染みこませ、普段から継続して与えると言う方法もあります。ラクトフェリンは生体から採取される成分ですので、非常に安全です。こちらは販売している業者も少なく入手するのに多少苦労しますが、通信販売などで購入することが出来ます。

安全水槽のすゝめ・商品紹介の概念

 <基本編>海水白点病に対しての知識

■淡水の白点病と海水の白点病の違いについて

 淡水の白点病も海水の白点病も、種類は全く違いますが(後述)「白点虫」という繊毛虫が魚に寄生する事によって発症します。両者とも白点虫の成長過程に独特なサイクルがあります。淡水も海水も、「分裂」→「魚に寄生して成長」→「魚から離れる」→「分裂」を繰り返しながらその数を増やします。

 しかし海水魚における白点病は、淡水魚における白点病とは性質も形態も異なる点が多く、同じ病気としては扱うことはできません。淡水と海水における白点病の違いを理解するため、ここでは両者における白点病の違いについて説明したいと思います。


 <淡水の白点病>
 淡水における白点虫の名前は「イクチオフチリウス」と言います。こちらは高水温(約25℃以上)に弱く、高水温の水槽内では仔虫が成長におけるサイクルで非常に多く分裂するので分裂した仔虫は小さく、遊泳する力も寄生する能力も低下します。また逆に、低水温(約17〜22℃)の範囲で成長した淡水白点虫の仔虫は分裂数が少なく、しかし非常に大きく、寄生する能力も強くなります。よって淡水熱帯魚の飼育における白点病の発症は、その管理水温が高いことから白点病の発症は少なくなります。特に夏場の飼育は、白点病が発症しにくい環境であると言えます。これは予防にも治療にも有効で、高水温治療により水槽自体に生息する白点虫を無力化してしまうことで解決する事が多いです。また、薬物治療にも魚の耐性は海水魚に比べて強く、しっかりした治療の元では、「白点病の発症=死」ということは少ないと思います。(治療薬に弱い種類もいるので注意が必要です)


 次に海水における白点虫について説明します。海水における白点虫の名前は「クリプトカリオン・イリタンス」と言います。こいつは絶対的に水槽に存在します。撲滅はほぼ100%不可能だとお考え下さい。こちらの白点虫は淡水のソレとくらべ、生命力が圧倒的に強いです。少々のことではへこたれません・・・高水温にも強く、彼らの活動を停止させるには約34℃以上も水温を上げなくてはなりません。

 私がこれまで読んできた海洋生物学の専門書の中には、「水温約34℃の潮だまりにて遊泳する白点虫の仔虫を確認した」と明記してあった文献もありました。また、低水温に対しての海水白点虫の耐性ですが、「およそ10℃以下でも白点虫の活動が認められた」と言う論文もありました。しかも卵(シスト)の状態では、低水温にも高水温にも耐え、かなりの悪環境でも仮死状態で生息出来ることが知られています。

 白点虫のシスト(卵)もやはり、「低水温(23℃など)」で少なく分裂し、仔虫は大きく、寄生能力が上がります。また、高水温(27℃など)」ではシストは数多く分裂して仔虫は小さく、寄生能力は下がります。病原菌や白点虫の仔虫は「殺菌灯やヨウ素ペレット」などの殺菌効果のあるものに弱く、白点虫の卵は性質上これらに強いです。ですのでもし白点虫が発生した場合、温度を高め(25〜27℃)に設定し、白点虫の多数分裂を促して殺菌効果のある機器を接続するのがよいと思います。白点病初期で殺菌灯などが設置されている場合、水温を少し上げると症状が治まるケースが多々あります。(無脊椎がいる水槽では高水温に注意してください。27℃以上にすると体調を崩す個体も出てきます。)

 ではここで、海水における白点虫の成長サイクルに対する変化について見ていきたいと思います。

1)卵(シスト/cyst)
 頑丈な殻に守られ、薬物や環境変化に強い白点虫の卵です。<約0.5mm〜1mm>底砂やライブロックなどに潜み、分裂する時期を待っている状態です。分裂は「刺激」や「温度変化」などで始まることが多く、飼育水の急激な環境変化は避けるべきだと思います。(底砂をかき回す、水温を急に上下
させるなどなど) ただ、意図的に高水温により規制能力を下げ、白点虫のシストを数多く分裂させてシストの数を減らす治療もあります。淡水でははっきりとした効能がありますが、海水の白点虫では逆効果になる事もありますのでご注意下さい。

2)仔虫(セロント/theront)
 シストが分裂して、自泳する仔虫/遊走子。非常に小さく肉眼では発見不可能<0.03〜0.05mm>この時期は薬物や環境変化に弱い。魚への寄生能力は18時間程度と短く、生態に出会い寄生しない限り、長くても約2日で死滅します。

3)硬骨魚類に寄生した仔虫(ホロント/phoront)
 硬骨魚類の体表粘膜表面に寄生した直後の仔虫で、既に溶解性の薬物などはほぼ意味をなしません。淡水浴などで若干の排除は出来るかも知れませんが、あまり効果はないと思います。寄生したホロントは次第に体表粘膜内部に潜り込み、体表の最深部「真皮」まで潜り込んで行きます。この時に魚が刺激を受け、体を岩などに擦りつける事があります。勿論ホロントは肉眼では確認できません。

4)白点虫の成虫(トロホント/trophont)
 皮下へ潜り込み、生体の細胞から養分を吸い取りながら成長していきます。魚の体内での成長期間は3〜7日程度ですが、生体の種類や水質、水温などに期間は大きく左右され、一概には言えません。また、真皮まで潜り込んだトロホントは見えません。この時、寄生した場所がエラなどの重要器官の場合は生体に多大な影響を与え、急激に弱って死亡することもあります。また生体に対する影響はこの重要器官への寄生もさることながら、魚自体に対してのストレスによる生命力、免疫力の低下を引き起こし、他の病気の2次感染などで死亡するケースが多いようです。「魚の体表に膜が張ってドリコディナかな?と思っていたら白い点が出てきた!」と言う体験がありますが、このためかも知れませんね。

5)魚から離れ、再び卵(シスト)となる
 白点虫が魚の体表内で成長し、もう十分な大人?になると、白点虫は海底などで次の卵になるため、真皮部分から体表へ出てきます。我々が魚に取り憑いた白点虫を見ることができる唯一の時期です。この体表に見えた白点虫の親虫(トロホント)は、数時間で魚の体表を離れ、底砂やライブロックなどに定着し、再び白点虫の卵(シスト)となります。ですので白点病初期の段階では、白点が見えた!と思った次の日には何事も無かったかのように、体表から白点が消え、「直ったのかな?」と勘違いしがちなのです。この点から、
白点病やその他の病気は魚がかかるのではなく、水槽自体がかかる病気と思った方が正解かも知れません。

 

 白点虫を駆除するタイミングは、「水中にいて殻を纏っていない状態」のみと言うことになります。上記1)〜5)をふまえ、白点虫の駆除について考えると、2)仔虫(セロント/theront) 及び 5)魚から離れ、再び卵(シスト)となる 前の2つの時期しかないことが分かります。両時期とも期間が短く、セロント=すぐに寄生してしまう〜2日、トロホント=体表を離れ底砂やライブロックに定着し、シストとなる数時間の間しか、水槽内での駆除は出来ません。

 しかし、しつこいようですが・・・いかなる治療法でも、白点虫の数を減らすことは出来ても、撲滅は不可能である事を念頭に置いてください。

 白点虫の生態系は奥深く、この他にもうんちくは山ほどあります。ですがこれを全て書き記していると、このページが「白点虫について」でいっぱいになってしまうので(苦笑) 重要な部分だけをかいつまんでご説明しましたが、次に様々な白点虫の治療法を紹介していきながら、更に詳しい内容をご説明したいと思います。


 次項では海水魚の病気な基本となる「白点病」の治療について、簡易的な治療のレベル1から、効果や安全性は素晴らしいが難しく、手間もかかってしまうレベル6迄の治療法を紹介したいと思います。ただし・・・病原の抑制よりも、生態の体力や免疫力の向上の方が重要だと言うことを視野に入れながら、次項をお読み下さると幸いです。


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作者は国語赤点野郎です。文章に不備が合った場合や、分かりにくい事、質問などが御座いましたらどしどしメールをして下さい。ホームページにも反映させていきたいと思っています。

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