A−7)維持費用のお話

 

 前回までのページで、海水の維持難度についてお話ししてきました。維持難度の高い海水水槽維持では、淡水水槽よりもずっと維持費用がかかります。しかし私が言いたいのは「海水魚を飼うにはお金がかかるよ!」と言う事ではなく、「如何に安く、安全な水槽を作っていくか」と言う事です。この章では、私が考案した「安上がりな安全水槽」についてお話ししたいと思います。

 

1)水槽

 水槽には多種多様な種類があります。アクリル、ガラス、45cm水槽、60cm水槽、90cm水槽、120cm水槽・・・ 当然容量が大きくなれば、維持費用も高くなっていきます。
 しかし、水量が多くなれば、それだけ安定するのも事実です(後述:水量=安定のお話) 水槽を小さいものにして維持費用を少なくするか・・・水量を多くし、安定させて死亡率を下げるか・・・難しいところですね。設置できる場所の制限や、飼い主さんの経済状況によっても限界は違ってきます。

 また、アクリル水槽とガラス水槽でも、その維持費用は変わってきます。ガラスは硬いので水圧による湾曲が発生しにくく、魚も綺麗に見えます。ですが熱の伝導率は「アクリル」より「ガラス」の方が高いので、ガラス水槽の方が「外の熱に影響されやすい」と言うことになります。(水槽のフタを設置している事が前提)

 水温維持の面から見るとアクリル水槽の方が維持費用はかからないと言えます。また、オーバーフローなどの加工にもアクリルが適しています。ガラスは後からの加工はとても難しく、特殊な工具が必要になります。私はガラス水槽にオーバーフロー加工を施しましたが、ダイヤモンドホールソーによる穴あけに半日かかりました。

  写真上はガラス水槽、下はアクリル水槽です。アクリルは様々な加工が容易で、下の水槽にはアクリル板を追加加工し、背面濾過を施しています。

 

安価水槽維持

■水量と安定、経済力の度合いを考える
ガラスよりアクリルの方が保温効果が高い。

 

2)水温維持費用

 先にも述べたとおり、水槽の容量が大きいほど、維持費用も大きくなります。年中20〜30℃に生息する海水の生き物たちにとって、水温の維持は大切な管理と言えます。冬であればヒーターを、夏であれば送風機やクーラーが必要になってきます。

 水温は周りの空気に大きく影響されます。ですので水槽の周りに「断熱材」を貼り付けると、魔法瓶の様な役割をして水温変化を小さく保てます。もちろん鑑賞する面は貼れませんが(苦笑)

 写真は我が家の90cm水槽ですが、背面と側面に建築用の青い発砲板を貼り付けています。

また、冬場は特に気化熱による温度の低下が多く発生します。暖かい水槽の水は、水蒸気を多く放出します。水は気化する時に熱を奪う性質があります。この「気化熱」は馬鹿に出来ず、かなりの熱放出を伴います。水槽上面は、アクリル板などで「蓋」をすると気化を抑えられます。(プラスチックの段ボール板を入手できれば加工がし易いです。ハサミで切れます。照明部分だけくりぬいてアクリル板を貼り付けると光も通ります)

 気化熱対策や、魚の飛び出し防止、地震などで海水が飛び散る事の防止など、水槽には必ず蓋をする様にしてください。

 さらに冬場の水換え水温管理ですが、入れ替える水をガスで温めると、水槽内のヒーターで暖めるより経済的です。ちなみに寒い冬、我が家では50リットルの冷水を別水槽にて適温にするまでに、300ワットのヒーターが8時間も稼働し続けます。鍋などを使ってガスコンロで沸騰させ、冷水に混ぜても温度は上昇し、適温に近付きます。我が家ではお風呂に入った後、作成した海水をバケツに2個に入れ、風呂の残り湯につけて温度を上昇させています。暖まるのに時間もかかりますがタダですよタダ!!

 夏の高水温時には予め作成しておいた浄水を、一部冷蔵庫で冷やしておきます。海水作成時にその冷水を足し、適正温度に近付けます。

安価水温維持

■鑑賞面以外は断熱をする
■水槽上面には蓋をする
■冬場、水換え時に水温を上げる時は風呂の残り湯を使う
■夏場、水換え時に水温を下げる時は冷蔵庫で冷やした冷水を使う

 

3)水質維持費用

 水量が多ければ水質悪化の進行もゆっくりですので、対応にも余裕が出てきます。病気率も下がり、余計な出費を抑えられます。先項でも書きましたが、濾過槽の濾材を多くしたり、濾過槽内のエアレーションをすると水質維持に貢献します。

 水換え周期は水質検査で掴みます。水槽立ち上げから3ヶ月もすると水質が大体安定しますので、水換えから水質限界値までの期間を知っておくと良いです。(水換え周期はNo3(硝酸塩濃度)だけ測っていればOKです)

安価水質維持

■水量が多ければ多いほど水質は安定する
■水量が多ければ温度管理費用は上がる
■水換え周期をしっかり掴む。

 

4)照明費用

 照明費用も水槽が大きくなればなるほど、大きな照明が必要になりますので上昇します。また、強い光が必要な、光合成をするサンゴやイソギンチャクを飼育する場合は、更にワット数の大きな照明が必要になりますので、費用もかさみます。

 照明の時間ですが、お魚のみの水槽は、南国(那覇)一年の平均日照時間と同じ、6時間程で十分です。サンゴやイソギンチャクがいる場合は、もう少し長くした方がいいのですが、照明も気分で点けたり消したりするのではなく、出来ることなら電源タイマーなどを利用し、毎日同じ時間に点灯、消灯する方が、お魚にも規則正しいリズムが出来上がります。我が家の水槽では電源タイマーを使い、豆電球〜照明6個全灯を管理しています。

 

 電気代節約のコツとしては、スポットライトなどを使い、強い光量が必要なサンゴやイソギンチャクに直接光を当てる方法が有効です。また、水面の反射光を有効に使うため、蓋に銀紙などを貼り付けるといいです。(水面に着かないようにしてください。金属は魚にとって有害です) 

 上記写真の穴の空いた部分には、アクリル板が貼り付けてあります。これは水槽用蛍光灯とスポットライトの光を通す穴です。メタルハライドランプなどを使用するときは、水面から離して使用します。この場合はふたの穴を大きく開けると光量が無駄になりません。(メタハラなどは高熱を発します。アクリル板を使用すると溶ける可能性がありますのでご注意ください。)

 

安価照明管理

■電源タイマーなどで規則正しい照明管理をする
■強い照明が必要な生物がいる場合、スポットライトを使う。
■水面の反射光を有効に使う(蓋に銀紙を貼るなど)

 

5)水流循環費用

 水流量も、これまた水槽の大きさに比例します。先項でも説明しましたが、飼育水槽の水が1時間で10周するぐらいの水量が適当です。ただし、高低差が大きなオーバーフローなどでは、水圧負荷によりポンプの出力容量が減ってしまうので、より大きな能力のポンプを設置することが必要です。

 電気代節約のコツは、水を揚げる高低差をなるべくつけず、適正なポンプを設置し、容量を管理する事です。例えばオーバーフローの濾過槽を水槽の横に置き、高低差を小さくする等です。オーバーフローは高低差さえあれば海水は流れます。

 また、ポンプにつなげるホースの長さが長いほど、ホースを通る水の抵抗になりますので、なるべく短めに設置すると、ロスが小さくなります。更にホースの太さも関係し、細ければ細いほど抵抗になります。太さを変換する接続管などをつかい、なるべく太いホースで繋ぎます。(接続管の内径はホースの内径より大きい物を使用し、ねじ込んでください。ホースの内径より細い接続管を使用すると、その部分が抵抗になってしまいます)

 つまり水流循環費用の削減には、適正な容量のポンプを設置し、揚程を小さくし、揚程内の抵抗を少なくする事が有効です。

安価水流循環管理

■循環揚程を少なくする(海水を揚げる高さを少なくする)
■抵抗を少なくする(ホース長を短くする、ホース内径を太くする)

 

6)機材稼働費用

 

 海水魚の飼育には、水槽、水槽台、物理濾過、生物濾過、照明、ヒーター、クーラー、スキマー等、様々な機材や消耗品が必要です。この中で自作できる機器は自分で作ってしまいましょう。私が作った機材のDIY例を、自作(DIY)コーナーで紹介しています。参考にして下さいね。正し、大切なお魚を守るため、材料(水槽内に金属は使わない)や強度(水槽は重い!)などに注意して下さい。

 

 では最後に、電気代の計算方法を明記します。

東京電力・1000ワット1時間連続使用時の料金=約22円として計算すると(1ヶ月の電気使用量により上下します)

■2006年に設置していた水槽・我が家の水槽システム維持費用詳細(表の次の文章へ

ヒーター<300ワット>×3
クーラー<300ワット>×3

300<ワット>×3(個)×6<時間:年平均1/4稼働として>÷1000<KWに変換>×22<Kwh/円>=

119円/日  3570円/月

循環ポンプ−1
(パワーボックス90<18ワット>×2、パワーボックス55<15ワット>×1)

((18<ワット>×2)+(15<ワット>×1))×24<時間>÷1000<KWに変換>×22<Kwh/円>=

 27円/日   810円/月

※50ヘルツ時の値です

循環ポンプ−2
<23ワット>

23<ワット>×24<時間>÷1000<KWに変換>×22<Kwh/円>=

 12円/日   360円/月

※50ヘルツ時の値です

照明−1
飼育水槽1蛍光灯
<32ワット>×2

32<ワット>×2<本>×8<時間>÷1000<KWに変換>×22<Kwh/円>=

 12円/日   360円/月

照明−2
飼育水槽2蛍光灯
<15ワット>×2

15<ワット>×2<本>×8<時間>÷1000<KWに変換>×22<Kwh/円>=

  6円/日   180円/月

照明−3
水槽1、2スポット
<24ワット>×2

24<ワット>×2<本>×8<時間>÷1000<KWに変換>×22<Kwh/円>=

  9円/日   270円/月

エアポンプ1
<30
ワット>
(2口タイプ)

30<ワット>×24<時間>÷1000<KWに変換>×22<Kwh/円>=

 16円/日   480円/月

殺菌灯

36<ワット>×24<時間>÷1000<KWに変換>×22<Kwh/円>=

 19円/日   570円/月

合計

220円/日  6600円/月

 ※関東における周波数の50Hzにて計算しています。
 ※計算値は東京電力の電気費用表を元に計算しています。
 ※計算値は断熱処理をバキバキに施した、総水量約540リットルシステムのものです。
 ※上記表の計算値は年平均です。水温維持費用は春夏秋冬で変わります。
 ※飼育地は埼玉県です。(平成11年〜16年の年間平均気温:15℃前後・日本の平均気温と類似)
 ※計算値はあくまで参考値で、実際の費用とは多少差があります。

 ※この他にも「水道代」や「水換え用海水の元」、「えさ代」などの費用が追加されます。

 

 突き詰めていくとキリがなく、お住まいの地域によっても違いますが、要は10リットルで200円かかると思ってください! 1ヶ月の電気代は60cmの水槽システムなら飼育層と濾過層で90リットルとして1,800円前後、90cmの水槽システムなら飼育層と濾過層で250リットルとして5,000円前後になります。

 

 ここまでは「海水魚飼育の難しさ」について説明してきました。次の項からは実際に水槽を立ち上げる迄のお話をしていきたいと思います。


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※飼育水槽容量220リットル前後(120cm水槽など)の水槽内水流作成に最適
※飼育水槽容量110リットル前後(60cmラージ水槽など)の
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※飼育水槽容量160〜220リットル前後(90/120cm水槽など)の
オーバーフロー揚程ポンプに最適

 


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作者は国語赤点野郎です。文章に不備が合った場合や、分かりにくい事、質問などが御座いましたらどしどしメールをして下さい。ホームページにも反映させていきたいと思っています。

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