B−7)水温管理器具

 

 熱帯地方に生息する海水魚は、通年20℃〜30℃の範囲で生活しています。色とりどりの海水魚達の殆どは、この熱帯地方に生息する個体が多いです。お寿司屋さんの生け簀のように、アジやサバを飼育する人は別ですが、観賞魚として海水魚を飼育する場合、この水温管理を徹底して行う必要があります。(アジやサバは高水温には弱いです)

 水温は冬場のヒーター管理だけではありません。夏場は周囲の気温に比例して水温も上昇し、時には水温が30℃を大きく越える事もあります。(埼玉県某市での体験です)無脊椎などの水温上昇に弱い生体を導入する場合、水温が27℃以上に上がると弱る個体も出てきて危険です。1日で全滅する事もあります。以下ではこの水温管理器具について書きたいと思います。


<冬場の低水温対策について>

 これはごく一般的で、アクアリストは淡水魚から海水魚飼育に至るまで「水中ヒーター」を使って水温管理をしていると思います。ただし、このヒーターでの保温すが、海水では「徹底した温度管理」が必要になってきます。一定水温で保つ場合も、ある温度範囲で変化させる場合も、飼育している海水生体が耐えうる範囲で管理しなくてはなりません。

 例え1回でも20℃を切るような事があれば、水槽が壊滅状態になることもあります。安全水槽ではヒーターの故障を考え、最低でも2つのヒーターを設置します。

 写真は90cm水槽、濾過槽と合わせた総水量が200リットルの水量に対し、300ワットのヒーターを2個設置しています。寒冷地でない限り90cm水槽システム程度ですと300ワットのヒーター1つでも問題はないのですが、片方が故障しても問題がないように別々のコントローラに繋いだヒーターを2つ設置しています。水槽全体の容量により、このヒーターのワット数が変わってきます。水槽の水量に対し容量の小さなヒーターでは水温が不安定になり、魚たちの健康にも害を及ぼします。お住まいの地域によっても変わってくるとは思いますが、水槽全体の容量に合ったヒーターを設置します。

 

(参考)ヒーターのワット数 = システム全体の水量[リットル] + 100
    ※システム全体の水量=飼育水槽、濾過槽の合計容量

 ※ヒーターの種類には、〜100W、150W、200W、300W、600W、1000Wなどがあります。
 ※ワット数による対応水量は、機器に記載されている対応容量を参照して下さい。
 ※故障を考え、予備のヒーターとコントローラーも設置する事をお勧めします。

 

例1)飼育水槽:90×45×45/濾過槽:60×45×45 総水量240リットル
   240 + 100 = 340ワット
    ・標準:200ワット×2
    ・安全:200ワット×3

 

例3)飼育水槽:150×45×45/濾過槽:90×45×45 総水量415リットル
   415 + 100 = 515ワット
    ・標準:300ワット×2 or 600ワット×1
    ・安全:300ワット×3 or 500ワット×2

 

 また、ヒーターは、ヒーターと温度センサーが一体型の物と、ヒーターとセンサーを別々に設置するタイプの物があります。

写真(ヒーターセンサー1体型)
 

写真(ヒーターセンサー分離型)
 

ヒーターとセンサーが一体になっているヒーターは、ヒーターとセンサーを同じ水槽内に設置することしか出来ず応用が利きません。例えば濾過槽にヒーターを設置する場合は、温度センサーは飼育水槽に設置します。濾過槽の水温を適温にしても、飼育水槽の水温が適温になるとは限らないからです。実際に生体がいる水槽内の温度を管理するために、水温センサーは飼育水槽へ設置します。この事から、できればヒーターとセンサーが一体型の物より、別々に設置するタイプの方が使い勝手もいいです。

 また、ダイヤルを指定温度に合わせて水温を調節するタイプ(写真)と、温度固定型のヒーターがあります。固定型は値段が安いのですが、飼育する個体の適正温度に合わせることが出来ず、やはり応用が利きません。また、安価なヒーターは故障時の警告出力がありません。(音や光)ヒーターは無段階に設定温度が調整できる、ダイヤル式のコントローラー付き商品をお勧めします。


<夏場の高水温対策について>

 意外となされていないのが、夏場の高水温対策です。海水魚の殆どは、水温30℃ぐらいになっても耐えることが出来ますが、サンゴやイソギンチャクなどの無脊椎は、水温27℃を越えると危険です。

 高くなった水温を下げるには、2通りの方法があります。

 

1)水面送風機を設置する(気化熱による水温下降)

 送風機を設置し、水面に対して風を当てることにより、蒸発した水の気化熱により水温を下げる方法です。気化熱拡散は馬鹿に出来ず、相当な熱量が放出されます。また、電気代もお得で、10Wの送風機を一ヶ月稼働させても、電気代は約160円程度です。

 ただし、この送風機を使用した水温下降の効果は、室温マイナス2℃程度です。4℃と記載してありますが、実際に4℃下げるには相当小さな水槽でないとありません。ですのでこの冷却方法は、通常時の室温が29℃以下の場合に限ります。

 また、気化熱を利用するので海水の蒸発は著しく早くなり、より頻繁な足し水が必要になってきます。

 

2)水槽クーラーを設置する(ガスの熱交換による水温下降)

写真(水槽用クーラー)

 水槽用クーラーを設置し、循環させた海水を直接冷却する方法です。クーラー内部、ガスの圧縮、拡散により熱交換がされ、内部を循環する海水を直接冷却します。これは家のクーラーとよく似た構造です。

 非常に効率の良い冷却ができますが、外気との熱交換を行いますので、熱風が出て部屋の中がかなり暑くなります。ですので排気管を設置するなどして、家の外に熱風を排出する事をお勧めします。

 また、屋外へ室外機を設置するタイプの水槽クーラーもあります。高価ですが、直射日光が当たらない工夫をすればかなりよく冷えます。

外気温35℃までなら、システムの総水量と同じワット数のクーラーで、大概が適温を保てます。(濾過槽を含めた総水量200リットル=200ワットのクーラー)こちらももしもの猛暑や故障を考え2つ設置することをお勧めしますが、物が高価なために2つ設置するのは中々難しいです。ちなみに200リットル用の水槽用クーラーで、安くても3〜5万円ぐらいはします。

 導入金額もさることながら、電気代もヒーターと同じぐらいかかります。ですので水槽には、断熱処理(水槽の周りを断熱材で囲む、水槽にふたをするなど)を施すことをお勧めします。


 水槽の置いてある部屋の室温を一年中23〜27℃に保つなど、部屋全体で水温維持をする方法もありますが、経済的ではありません。全部の水槽を合わせた水量が2tを超えた辺りから、部屋を冷暖房したほうがお得になるぐらいです(我が家がそうです(滝汗))また、水槽は普段生活する部屋に置くと、冬は暖房で温められ、夏は冷房で冷えて電気代の節約にもなります。一石二鳥ですね。

 海水魚は水温変化に敏感で非常に繊細な生き物です。特にサンゴやイソギンチャクなどの無脊椎動物を飼育している場合は、年中適正温度を保つことが大切です。多少の水温上下は耐性を付けるためにも逆に必要ですが、適正温度外に出ない様にします。このためヒーターやクーラーは、なるべく数多く、対応水量よりもより高い能力のあるシステムを組んだ方が無難です。


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作者は国語赤点野郎です。文章に不備が合った場合や、分かりにくい事、質問などが御座いましたらどしどしメールをして下さい。ホームページにも反映させていきたいと思っています。

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